在職中の転職活動は違法ではない!【人事経験者が解説】

転職活動・転職したい
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在職中に転職活動をすることが「違法になってしまうのでは?」と不安に思っている人はいませんか?

 

転職活動は、お世話になった会社を裏切るような気持ちになるので、罪悪感を感じてしまうことはありますよね。

 

しかし結論から言えば、一部の特殊な例を除けば、在職中の転職活動は違法ではありません。

 

私はこれまで人事の仕事を10年以上経験し、多くの採用活動や退職手続きに携わってきました。

 

そんな経験をもとに、在職中の転職活動にかかわるトラブルや違法性について解説していきます。

 

在職中の転職活動は違法になるのか?

 

結論:原則、在職中の転職活動は違法ではない

結論としては、在職中の転職活動は違法にはなりません。

 

憲法には「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」と規定されており、

職業選択の自由が保障されています。

 

というわけで、仮に会社から違法性を問われたとしても、法的には問題ないことになります

 

ただし、一部、注意しておかなけれないけないケースがあります。

 

それは、同業種への転職を行う場合です。

 

通常、同業種への転職であっても違法性が問われることはありません。

 

しかし「競業避止義務」が規定されている会社では違法行為と見なされる可能性があります。

 

競業避止義務とは、自社の不利益に繋がる行為(競合他社への転職、秘密情報の持ち出し)を禁止するものです。

 

この競業避止義務は就業規則に規定されているか、個別に誓約書を取り交わしているかの2点で確認ができます。

 

競業避止義務に注意する必要もある

ただし、同業種へ転職したとしても直ちに、違法性を問われるわけではありません。

 

会社の不利益に繋がるような行為を禁止しているので、内部情報の持ち出しなどをしなければ問題ありません。

 

例えば、公開されていない企業のノウハウや、新規事業のプラン内容など、

経営に大きな影響を与える情報を横流しすると、アウトです。

 

ですので、役員などの経営層に課せられるケースが多いですね。

 

そして、競業避止義務に違反すると減給や退職金の支給制限、場合によっては懲戒解雇になる可能性もあります。

 

実際に損害賠償を請求されるケースもあるので注意は必要です。

 

最近では下記のようなケースで違法性が問われている事件がありました。

 

<参考・競合避止義務にかかわる事件>

・元ソフトバンク社員による楽天モバイル転職事件
➡5G通信に関する秘密情報を不正に持ち出して逮捕(2021年1月)

・ヤマダ電機事件
➡上級幹部であった元社員が競合他社の家電量販店に転職。
しかし最低1年間は同業他社へ転職しない誓約書を取り交わしていたため、
違約金として退職金と給料の一部返金する判決となった(2007年4月)

⇒機密な内部情報を持ち出したり、誓約書の内容に違反するような行為に関しては、
 事件として違法性が認められる傾向にある。

 

 

ただし、一般の社員が普通に転職したところで、大きな問題にはなりません。

 

基本的には、企業が在職中の転職活動を禁止することはできません。

 

上記のような特殊なケースで、同業他社への転職が期限付きの制限になることはありますが、

活動自体を禁止することはできません。

 

いくら就業規則に規定されていても、憲法による「職業選択の自由」が優先されるからです。

 

ただし競合他社への転職に関しては就業規則や誓約書で制限されている可能性があるので、確認しましょう。

 

 

在職中の転職活動で違法性を疑われないための注意点【リスク回避】

在職中に転職活動をする上で、トラブルになるケースもあります。

 

そんなリスクを回避し、違法性を排除するための注意点をご紹介します。

<在職中の転職活動でトラブル(違法性)を避ける注意点>

・転職活動は秘密にしておく

・仕事中に転職活動は行わない

・SNSでの発言に気を付ける

・現職で迷惑をかけない

・円満な退職を心がける

・内部情報は漏らさない

・就業規則や契約書(誓約書)を確認

 

転職活動は秘密にしておく

転職活動していることは、上司にはもちろん、同僚や先輩にも秘密にしておきましょう。

どんな形で噂が上司に伝わるか分かりませんからね。

秘密にする理由は、転職活動していることに不満や不信感を抱く人がいるからです。

そして、その不信感がトラブルに発展する可能性があります。

出来る限り秘密にしておき、転職が決まり、退職日が決定してから伝えるようにしましょう。

 

就業時間中に転職活動は行わない

在職中の転職活動に問題はありませんが、就業時間中は避けなければなりません。

その時間は仕事をする時間であり、私的な用事に充てる時間ではないからです。

仮に会社のパソコンで就業時間中に転職活動していることがバレたら、ペナルティを受ける可能性もあります。

在職中の転職活動は平日の就業時間外か、休日、もしくは有給休暇を取得して行いましょう。

 

SNSでの発言に気を付ける

SNSは誰が見ているか分かりません。

職場の人に公開していなくても思わぬ形で、個人が特定される可能性もあります。

特に、転職活動していることや会社の悪口を書き込むことは避けた方がいいでしょう。

転職活動がバレる可能性もありますし、悪口の内容によっては名誉棄損で訴えられる可能性もあります。

 

現職で迷惑をかけない

転職活動していても、現職の仕事は最後までやり遂げましょう。

「どうせ仕事を辞めるから」と思って手を抜いていると、周囲の人に迷惑がかかります。

また退職後に残されたメンバーが苦労することになります。

迷惑をかけて退職後にトラブルになる可能性もあるので、現職の仕事は滞りなくやりましょう。

 

円満な退職を心がける

トラブルになる人は、大抵、円満な退職にはなりません。

お世話になった人への感謝や仕事の引継ぎなどは、滞りなくやっておきましょう。

人間関係を悪化させたまま転職すると、後で、思わぬトラブルやしっぺ返しをくらうことがあります。

可能であるならば、退職日などは職場の事情も考慮した方がいいでしょう。

 

内部情報は漏らさない

内部事情を転職先で漏らしてしまうと、損害賠償請求をされる可能性があります。

特に、退職時の誓約書などには、機密情報の取り扱いについてサインしているケースもあるので注意が必要です。

バレないと思っても公開していないプロジェクトや特殊な技術を面接時にうっかり言ってしまうこともあります。

普通にしていれば問題ありませんが、不用意な発言には注意しておきましょう。

 

就業規則や契約書(誓約書)を確認

上記でも紹介しましたが、就業規則に競業避止義務が規定されていないか、確認しておきましょう。

またその他に、契約書や誓約書の内容についても確認しておいた方がいいです。

普通の会社であれば、気にすることはありませんが、一部の会社にはしっかりと競業避止義務を

規定していることがあるので、念のために確認するのがベストですね。

 

 

在職中の転職活動を違法性なく、円滑に進めるための方法

続いて、在職中の転職活動を円滑に進める方法をご紹介します。

 

具体的には下記のとおりです。

・余裕を持って転職活動する

・面接は平日の夕方が狙い目

・転職エージェントを活用する

 

 

余裕を持って転職活動する

転職活動は焦っても、良いことがありません。

長期戦を覚悟し、余裕を持って活動しましょう。

またスケジュールを詰め込みすぎると、現職とのバランスを取るのも大変です。

もし、納得できる企業に内定をもらえなければ、転職活動を一旦保留するくらいの気持ちで活動しましょう。

 

 

面接は平日の夕方が狙い目

平日に面接へ行くためには、会社を休まなければなりません。

そんな時は、平日の夕方に面接の日程調整をするのがベストです。

有給休暇も半日の取得で済みますし、仕事を終えてからの面接となるので、気持ち的にも楽です。

土日に面接対応してくれる会社は少ないので、平日の夕方に予定を入れられるようにしておきましょう。

 

 

転職エージェントを活用する

転職エージェントを活用するメリットは、様々なサポートをしてくれるところです。

特に、「面接の日程調整」、「企業情報の確認」、「転職活動のアドバイス」を受けられます。

全て自分一人で調べたり、確認するのは、時間的にも、労力的にも大変です。

待遇面や就業環境などの確認を直接会社にするよりも、エージェントを通した方が会社側の印象も良くなります。

無料で活用できるので、ぜひ使ってみるのをオススメします。

 

<オススメの転職エージェント>

・リクルートエージェント

・マイナビエージェント

・パソナキャリア

 

 

在職中の転職活動は違法ではないし!むしろ転職活動をするべき

在職中の転職活動は、何かと大変ですよね。

 

単純に、時間や労力がかかりますし、会社にバレずに活動するのも気を遣います。

 

しかし、だからといって「退職してから転職活動をする」のはオススメしません。

 

退職してからの転職活動は以下のようなリスクとデメリットがあるからです。

 

・在職中の方が選考が有利に進む
➡退職している人よりも、在職中の人の方が、面接官の評価が高くなる

・退職してからだと、焦りと不安が増大する
➡「早く決めなければいけない」という焦りから、転職に失敗する可能性が高くなる

・在職中の会社から引き留められるから
➡転職であれば、現職の会社も諦めてくれます

 

退職してからの転職活動だと、選考が不利になりますし、焦りや不安で正常な判断ができなくなってしまいます。

 

もし、体調不良やハラスメントなどによって「すぐに退職したい」という人でなければ、

在職中に転職活動する方が、絶対にオススメですね。

 

 

なお、「エン・ジャパン」の調査によると86%の人が「在職中に転職活動を行なう」と回答しています。

出典:https://corp.en-japan.com/newsrelease/

 

実際に、多くの人が在職中に転職活動をしていることが分かりますよね。

 

<まとめ>在職中の転職活動は違法?

以上、在職中の転職活動が違法ではない理由について、ご紹介いたしました。

 

職業選択の自由は憲法で保障されていますので、転職活動も基本的には自由です。

 

ただし、一部の業種や業界で、役職や立場によっては在職中の転職活動を制限している会社もあります。

 

もし制限している場合は「競業避止義務」が就業規則に規定されています。

 

悪気はなくても、何気ない行動や発言が違法と捉えられる可能性はゼロではないので、

念のために、就業規則や契約書(誓約書)で「競業避止義務」が規定されているか確認しておきましょう。

 

では、この記事の内容をまとめます。

<まとめ>

・在職中の転職活動は違法にはならない
➡憲法で保障されている

・ただし、競業避止義務に該当する場合は、違法性を問われる可能性がある
➡就業規則や契約書、誓約書を確認しておこう

・一般のサラリーマンが在職中に転職活動するのは当たり前
➡9割近い人が在職中に転職活動している。退職してからの転職活動は不利になる。

 

 

以上、さいごまで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

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