サラリーマンとして働いている人にとって、人事異動は避けて通れないものです。
しかし、自ら部署異動を望んでいるのにもかかわらず、
全然、異動できないことに不満を抱えている人もいるのではないでしょうか。
今の仕事に飽きてきた・・・
仕事や人間関係がつらい・・・
そろそろ違うキャリアを考えたい・・・
などと、異動したい理由は様々ですが、異動の希望が必ずしも実現されないもの、事実です。
もし異動できないことに悩んでいるなら、転職も視野に検討しましょう。
私はこれまで人事部で働きながら、異動願を出す人、そして希望が叶わず退職する人を見てきました。
そんな経験から、部署異動できない時の対処法や、退職、転職する際の判断基準などについて紹介します。
この記事では以下のような悩みを抱えている人の参考になれば幸いです。
・部署異動したいけど、いつまで経っても異動できないのはなぜ?
・異動希望を叶える方法は?
・異動できないなら、会社を辞めて転職しても良い?
<私の経歴【2024.1現在】>
・10年以上の人事労務経験
・これまで数百名の人事異動の実務を経験
・人事異動の仕組みや実態に精通
⇒上記経験から現実的な対策をご紹介します。
部署異動できないのはなぜ?
次に、なぜ部署異動できないのか、考えてみましょう。
異動できないのは、会社がいじわるをしているわけでも、自分が嫌われているわけでもありません。
会社にとっても、異動させてあげられない理由があります。
もちろん、本人の問題もあります・・・
<会社都合で異動できないケース>
・今の部署に必要な人材だから
・異動先が見つからないから
・他の人との兼ね合いがあるから
(解説)
会社も、希望通りに異動を繰り返していれば、きりがありませんし、
必要な部門に必要な人材を配置する必要がありますからね。
また、異動させない方がうまくいくからこそ、異動させていないケースもあるので、
決して嫌われているから、異動できないわけではないんですよね。
<本人の問題で異動できないケース>
・今の部署の在職期間が短いから
・理想ばかり掲げているから
・楽をしようとばかり考えているから
(解説)
上記のような理由であれば、いくら異動願を出しても、異動が実現できない可能性が高いです。
特に配属、異動したばかりなのに、短期間で別の部署へ異動したいと思っても、
それは実現しません。最低でも3年程度は今の部署で働く必要がありますね。
また、理想ばかり掲げ、楽をしたいと考えている場合は、会社も真剣には取り合ってくれませんね。
会社都合もあれば、本人の問題によって、異動できないケースがあります。
ただし、いくら本人が前向きな理由で異動願を出したとしても、
会社都合によって、大きく左右されてしまうということです。
人員補充の必要性がなければ、中々異動は実現できませんし、
ジョブローテーション制度があっても、他の人との兼ね合いもあるので、
希望通りに、うまく異動できるとは限らないんですよね。
要は、異動するには自分の問題以外に、タイミングと運が重要だということです。
部署異動の希望を叶える方法とは?
会社側の都合もあるので、運とタイミングが鍵であることを、上記でご紹介いたしました。
先ほども記載しましたが、異動にあたって、後ろ向きな理由はNGです。
では、どうすれば、うまく部署異動の希望を叶えられるのでしょうか。
下記でご紹介します。
ポイントとしては、異動することで会社側にメリットがあると思い込ませることが鍵となります。
<①今の仕事で成果を上げて、実力をつける>
(理由)
・異動先でも結果を出してくれる期待が持てるから。
・結果を出している人の意見を無視はできないから。
<②異動先でやりたいことや実現したいことを明確にする>
(理由)
・異動先で、より前向きに仕事をしてもらえる期待が持てるから。
・具体的に調べ、行動しようとしている人の意見を無視できないから。
<③異動できないのであれば、退職も検討している旨えを伝える>
(理由)
・優秀な人材が流出するリスクを避けようとするから。
・辞められると困るので、会社も真剣に対応するから。
※日ごろから結果を出し、経営層または、管理職層に評価されている人に限ります。
こんな感じです。
結局は、何も調べもしないで適当に「異動したい」と言っているだけでは、
会社も真剣には取り組んでくれません。
もちろん、やる気がなく、結果がでないことで、他の部署へ異動するケースもありますが、
確実性はありませんし、それこそ運頼みになりますので、
現実性を考えれば、上記のように、日ごろから結果を出し、真面目に取り組みつつ、
異動の希望を具体的に伝えることが大切です。
部署異動できないから退職するのはあり?
はじめに、異動の希望が叶わないからといって、退職するのはありでしょうか?
結論から言えば、「退職するのはあり」だと思います。
ただし、理由によっては退職しない方が良いケースもあります。
ケースごとに退職しても良い理由と、そうでない理由、要検討な理由を下記のとおり、
分けているので、ご参考ください。
<退職しても良いケース>
・他にやりたいことがある
・キャリアステップしたい
・今の仕事のスキルが十分身に付いた時
(解説)
退職しても良いケースというのは、ポジティブな理由の時です。
現職以外に、他にやりたいことがある時や、より高見を目指す時、
もしくはスキルや経験が十二分に身について、次のステップへ踏み出せる段階であれば、
退職しても大丈夫です。
この場合、仮に転職しても成功する可能性が高いですし、やりたいことがはっきりとしているので、
異動を待つよりも、自分から行動して退職、転職する価値があると思います。
<退職しない方が良いケース>
・今の仕事に飽きてきた
・今の仕事が辛くて面白くない
・今の仕事がうまくいかない
(解説)
逆に退職しない方が良いケースは、ネガティブな理由の時です。
異動したい理由が今の仕事に不満があり、辛くて大変と感じているだけなら退職しない方が良いです。
というのは、転職してもまた同じ悩みを抱える可能性が高いからです。
今の仕事をやりきって、実力をつけてから、より前向きな理由で異動したいと思えるまでは、
退職しない方がいいと思います。
もちろん、ストレスで体調不良になってしまうような場合は、退職や転職も考慮した方がいいですね。
<検討した方が良いケース>
・人間関係がつらい
・体調が良くない時
・ハラスメントを受けている
(解説)
退職するかしないかは、状況に応じて判断した方が良いケースです。
もし上記理由で異動したいけれど、異動できない場合であっても、
耐えれそうなら耐えて、仕事を続けた方が良いと思います。
ただし、体調が悪くなり、病気になってしまったり、会社に行けなくなるような状況であれば、
退職した方が良いと思います。健康第一ですからね。
要検討の理由としては、自分が退職しなくても状況が変わる可能性があるからです。
例えば嫌な上司が異動になるケースもありますし、優秀な上司が異動してきて、
良い職場環境に変わる可能性もあります。
また、自分の異動願が叶えられる可能性もあります。
半年後か1年後かは分かりませんが、退職を踏みとどまれるなら踏みとどまってもいいと思います。
こんな感じです。
これは、私自身のサラリーマン経験で感じたキャリアに対する考えと、
人事部として、人事異動に携わってきた経験から得た考えをもとに、まとめさせていただきました。
やはり、人事異動とはいっても、会社都合もあれば、本人都合もありますし、
本当に色んな事情で異動する人がいるからです。
そして、それがうまくいく場合もあれば、うまくいかない場合もあります。
うまくいく共通点としては、結局は仕事に前向きであるかどうかが、重要だと思います。
常に他人のせいにしたり、責任感のない人、向上心のない人は、仮に異動できたとしても、
うまくいっていないですし、退職したとしてももっとうまくいきません。
ただし、本当につらくて悩んでいる人は退職した方がいいケースもあります。
そしてもっと重要なのが、退職する前に、転職先をみつけておくことです。
転職先を見つける前に、退職してしまうと、後々、焦りを感じますし、
転職活動でも不利に働くことが多いからです。
異動できないことが不満なら転職も検討しよう
異動できない場合、上記で紹介したように退職するのはOKです。
そして、できる限り転職を視野に入れて行動しましょう。
仮に異動できないとしても、転職することで悩みの根本が解決される可能性が高いからです。
異動できない時、転職をオススメする理由は下記のとおりです。
・部署異動と同じメリットを得られる
➡仕事内容、人間関係、キャリア、待遇、働き方の全てを変えられる
・転職なら自分のタイミング次第でいつでも実現可能
➡異動の場合、いつまで経っても異動できず、希望する仕事にも就けない可能性が高い
・転職活動をすることで心に余裕が生まれ、視野が広がる
➡仮に転職に至らなかったとしても、転職活動自体が大きな気づきや学びに繋がる
もちろん、異動とは違って会社が変わる分、環境の変化が大きく、リスクが増えるデメリットはあります。
しかし、環境を大きく変えたい人や、今の会社に限界を感じている人は、むしろ転職の方が良いかもしれません。
部署異動は運の要素が強く、タイミング、異動先は自分ではコントロールできません。
転職であれば、希望する職種や仕事内容を見つけることができ、早くて1~1ヶ月半程度で内定を貰えます。
今の仕事に限界を感じていたり、異動することが期待できないのであれば、転職を検討しましょう。
少なくとも、転職活動するだけであれば、リスクはほぼありません。
異動できないことに対する不満を、転職活動に対するエネルギーに変換してみてください。
きっと、明るい未来が想像でき、キャリアに対する考え方や仕事に対するやる気が向上するはずです。
異動できないから退職・転職する際の注意点
なお異動できない時に、退職や転職を決断する際は、注意すべきことがあります。
やみくもに、会社を辞めてしまっては、確実に後悔することになります。
異動できないから退職、転職する際の注意点は下記のとおりです。
・無断欠勤、バックレはNG
➡社会人としてやってはいけないこと。加えて周囲に迷惑をかけて、トラブルに発展する恐れもある
・引継ぎを行い、できるだけ上司のお願いに応えよう
➡円満退職する上で重要です
・できるだけ転職先を確保してから退職する
➡体調不良等の特別な事情が無い限り、在職中に転職活動を終わらせよう
・転職エージェントを上手く利用しよう
➡求人紹介、面接対策、選考の日程調整などを無料でやってくれるので、時間や労力の省略が可能
とにかく会社に迷惑がかかるようなことは避けましょう。
そして、退職日までは出来る限り、周囲の人や上司、会社に悪影響が及ばないように協力し、最後まで責任を持ちましょう。
やはり退職する際にトラブルを起こす人や迷惑をかける人は転職したとしても、上手くいかないケースが多いです。
仮にどれだけ今の会社を恨んでいたとしても、大人の対応をすることで、あなたの価値や評価を上げましょう。
そして一番大事なのは、退職する前に転職先を確保しておくことです。
無職になってから転職活動すると選考が不利になりますし、何より焦りや不安から転職活動が失敗します。
在職中に余裕を持って、希望する会社へ転職しましょう。
その際、利用すべきなのは転職エージェントです。転職活動の負担を減らすこともできますし、選考通過の確率を上げてくれます。
普通のサラリーマンであれば、大手の転職エージェントで十分なので、上手く使いこなして転職活動を始めよう。
【経験談】実際に異動できないから退職・転職する人はい?
実際に異動できないことで退職、転職するケースがあるのかどうか、気になりますよね?
私がこれまで人事部として勤務してきた経験から言えば、退職・転職する人はいます。
ただし、上司に退職を申し出ても以下のようなパターンに分かれることが多いです。
パターン①説得されて仕事を続ける人
パターン②退職されては困るから、異動願が叶う人
パターン③実際に退職・転職する人
退職しようと思い、上司に伝えたとしても、実際には説得にあるケースが多いです。
そして、場合によっては、他の部署への異動を会社側から提案されるケースもあります。
ただし、異動が実現する人は、何かしらの魅力や能力がある人が多いですね。
もしくは真面目もしくは優秀な人だけれど今のままでは潰れてしまうような状況の人は異動するケースです。
ただし、会社の都合もあるので、運とタイミング次第というのが、本音ですね。
そして「転職先が決まっている」というケースでは、上司も説得できないことを知っているので、「転職先が決まっている」という話を伝えれば、説得されずに済むでしょう。
実際、私が人事担当者として経験した退職者のパターンは下記のようなケースです。
①仕事や人間関係で悩み、不満が溜まる ➡ 異動願を提出する
⇩
②上司や人事部に相談するも、部署異動は実施されない
⇩
③やむなく退職願を出して転職する
精神的に追い込まれたり、我慢の限界を迎えると、会社を辞めざるを得ないと感じる人も多いです。
そんな人が上記のように退職し、転職するケースは多いですね。
異動できないから退職したり転職する人は珍しいことではないので、迷っている人はぜひ行動してみてください。
まとめ
以上、部署異動できない理由や、異動の希望を叶える方法、転職を進める理由をご紹介いたしました。
繰り返しになりますが、異動は会社都合による事情が大きいため、運とタイミングが大きな鍵となります。
そして、異動の希望を実現させるためには、前向きでポジティブな理由であることが重要です。
ただし、もし、今の部署からどうしても異動ができなくて、悩んでいる場合や、毎日会社に行くのが恐いと感じているのであれば、転職も視野に入れて行動してもいいかもしれません。
異動できれば最高ですし、今の会社で働き続けられれば、良いですが、全員が全員、ポジティブな状況であるわけもありません。
転職によって仕事の悩みや課題が解決できる可能性は高いですし、あなたが望むキャリアや働き方が手に入る可能性も高いです。
そして転職であれば、自分のタイミングで実現しやすいのもメリットでしょう。
状況によっては、異動が実現できない代わりに転職という道を辿ることは、現実的だと思います。
ただし、退職する前に、転職先を見つけておくことはやっておいた方がいいでしょう。
以上、さいごまで読んでいただきありがとうございました。
リクルートエージェント
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